2013年1月2日水曜日

ニコラ

監督:クロード・ミレール

ハイウェイを疾走するグレーのルノーを後ろから捉えたショットで始まり、それが回想シーンによって父が息子のニコラを乗せてスキー教室へと向かっている車であることがわかる。

ガソリンスタンドに寄りしばらくすると、車は事故現場に遭遇するのだが、この現場を通りすぎるときに、車の窓から横移動で捉えた凄惨な事故現場の描写がなかなか印象的だ(『ウィークエンド』!笑)。

さてこの映画はスキー教室を主軸にしながら、ところどころでニコラの夢や妄想が描かれる構成になっているが、これらの夢や妄想がなかなか面白い。
とりわけ料理番組のテレビ画面が突然、父親が交通事故を起こす場面に切り替わり、担任の女性教師がなぐさめるようにニコラを愛撫するという妄想シーンがとてもエロティック。そしてこのエロティックな妄想ゆえに、映画におけるこの女性教師の存在感がグッと増すのがなかなか巧みだ。

あるいは両親が猿の手にお願いをするたびにそれが叶うという夢も、極めていたずらっぽいというか、見てるこちら側も思わずにやにやしてしまう筋立てだ。それと玄関を右往左往する両親を捉えた横移動がなかなか素晴らしい。

また最終的に妄想/夢と現実との境界が曖昧になったまま、しかしその決定的な侵蝕は描かれないまま、映画は終わってしまう。

照明があまりうまくいってるとは思えない。クローズアップがちょっと多い。

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