2014年3月24日月曜日

荒野の決闘

監督:ジョン・フォード

この撮影はすごい。全編見事なコントラスト。
あるいは縦の構図の冴え。バーで初めてヘンリー・フォンダとヴィクター・マチュアが会いまみえる場面では、まずカウンター前に立ったマチュアと手前でポーカーに興じる男たち(including ヘンリー・フォンダ)の縦の構図を作り出し、さらにフォンダ以外の人々が立ち去った後にフォンダが腰を上げてマチュアの方に歩み寄っていくシーンで再び同構図の撮影が来ることで、(人々が立ち去ったことによって)その空間が二人のためにより際立ち、デスティニー感が高まる。

フォンダはクレメンタインの前で、一度だけ帽子をとるが、意外にも帽子を取らないことが多い。しかし帽子をとるシーンの方が印象的である。例えば教会でのダンスシーン。彼はいささか恥ずかしそうにダンスを申し込むと、帽子を投げ捨て、それにクレメンタインが上着を脱ぐことで応える。
(帽子をとるとらない、というのはどうやらそれほど単純ではないようである。)

ラストの決闘であったり、あるいは中盤の馬の追走劇であったり、フォードはBGM抜きでアクションを「描きつくす」。そしてこれに身を興じるのは、見る者にとっても相当ハードな体験だし、今回はそれに見合った集中力を維持できなかったので、ここまで。

しかしクレメンタインは、またしても男に去られてしまうのか。

ヴィクター・マチュアの咳。これが最後の決闘でもあだとなってしまうわけだが、それ以上に彼が咳をするたびに口にやる白いハンカチ。これはクレメンタインと屋外で口論になるシーンでも、夜の黒と見事なコントラストを演じていたし、ラストでも当然、彼の遺体以上にハンカチが存在を誇示する。

または病人という設定。もちろんマチュアも病人だが、フォード的病人としては、チワワがふさわしい。倒れた者が担架で運ばれるイメージ。それは『駅馬車』の妊婦や『リオグランデ』のジョン・ウェインに通じるところがある。それにしても彼女はあっけなく死んでしまう。


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