2015年7月12日日曜日

羊たちの沈黙

監督:ジョナサン・デミ

やっぱり傑作。
なんといってもレクター博士の脱走シーン。スキャンダラスでセンセーショナルな描写と、サスペンスとしての正確無比なイメージの構築。まったくもって凄いなぁ。

カメラの位置、カットの割り方、一瞬一瞬が驚きの連続であって、クローズアップやミドルショットが中心であるにもかかわらず、ショットの入り方、カメラの寄り方が独特であるために、空間の広がりという意味では見事な到達をみせているだろう。

キャサリン誘拐シーンの聡明なカメラワークに心を躍らせ、地下壕でのキャサリンとバッファロー・ビルの切り替えしにハッとさせられる。
クラリスの指にふれたレクターの指は、そのまま手錠を器用に外して見せる繊細な指使いの伏線だ。
唐突に挿入される回想も、たった2回しかないという慎ましやかさで、それなのにあのカメラのドリーと曇り空によって強烈な印象を残す。
あらゆる瞬間が驚きというか不意打ちというか。そして気づいたらクライマックスという。

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